株式会社SUMCOとは?まず要点

スマホ、PC、自動車。私たちが毎日使っている「電子の塊」たちは、どれも半導体なしには動きません。その半導体を作るための最初の素材――それがシリコンウェーハです。

株式会社SUMCO(証券コード3436)は、このシリコンウェーハを作る世界トップクラスのメーカーです。信越化学工業に次ぐ世界第2位のシェアを持ち、最先端ロジック半導体に使われる「300mmウェーハ」では世界トップクラス。半導体産業の「川の最上流」にいる、なくてはならない会社です。

ただ、足元の業績は厳しい状況です。半導体市況の調整局面と、巨額の設備投資による減価償却費の増加が重なり、2025年12月期は最終赤字に転落。一方で、AI半導体の需要拡大という追い風を見据えて、設備投資の手は緩めず、回復期に備えている――それが今のSUMCOの姿です。

どんな事業をしているの?

SUMCOの主力製品は半導体用シリコンウェーハ。シリコンウェーハとは、半導体チップの「土台」になる薄い円盤状の素材です。直径によって用途が分かれ、300mm(12インチ)ウェーハは最先端のロジック半導体やDRAM、NANDフラッシュメモリなどに使われます。

では、なぜこの会社が「世界第2位」で居続けられるのでしょうか。シリコンウェーハは、純度99.999999999%(イレブン・ナインと呼ばれます)という極限の純度が要求されます。直径300mmという広い面積に、ナノレベルで結晶を整えた状態を保つ技術は、ごく限られた企業しか持っていません。SUMCOはその技術を持つ少数のプレイヤーの一社です。

顧客は世界中の半導体メーカー。TSMC、Samsung、Intel、ソニー、キオクシア――いわゆる半導体製造の最前線にいる企業群が、SUMCOの主要取引先です。**「半導体産業が伸びる限り、ウェーハの需要は続く」**というのが、この会社の立ち位置を一言で表す表現になります。

業績の推移(過去4期の比較)

株探の公開データをもとに、過去4期の主要業績を整理しました(単位:百万円)。

決算期 売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益 1株配
2022年12月 441,083 109,683 111,339 70,205 200.5円 81円
2023年12月 425,941 73,080 72,627 63,884 182.6円 55円
2024年12月 396,619 36,924 37,457 19,877 56.8円 21円
2025年12月 409,670 1,342 -3,886 -11,751 -33.6円 20円

何が起きているのかを、3つの角度から読み解きます。

① 半導体市況の調整局面
2022年は半導体特需のピークでした。コロナ禍で巣ごもり需要が爆発し、車載向けも回復。SUMCOの売上高は441,083百万円という過去最高水準を記録しました。しかし2023年以降、メモリ価格の急落と在庫調整が続き、ウェーハ需要も弱含み。売上は緩やかに減少しました。

② 設備投資による減価償却費の増加
業績悪化のもう一つの大きな要因が、減価償却費の増加です。SUMCOは2022年〜2023年にかけて、台湾と九州(佐賀県伊万里市)で大型の300mmウェーハ新工場を建設・稼働させてきました。新工場の固定資産は、稼働後に毎年「減価償却費」として営業利益から差し引かれていきます。売上が伸びていない時期に償却負担だけが膨らんだことが、営業利益を強く圧迫しました。

③ 為替の振れ
SUMCOは輸出比率が高く、為替の変動が業績に直撃します。2022〜2023年の円安はプラス要因でしたが、2024年以降の円高局面では業績に逆風となりました。

結果として、2025年12月期は経常利益・純利益ともに赤字に転落。配当は2022年の81円から段階的に減らされ、2025年は20円になりました。

ただし、ネガティブだけではありません。売上高は2024年の3,966億円水準から2025年は4,096億円へ持ち直し、四半期ごとに底打ちの兆しが出てきています。AI半導体ブームと先端ロジック向けの需要が、川上のウェーハまで波及するシナリオに、市場は注目しています。

株式会社SUMCOが今、挑戦していること

業績は厳しい局面にありますが、SUMCOは回復期に備えた投資を緩めていません。公開情報の範囲で、いくつかの具体的な動きを整理します。

① 設備投資の継続
苦しい局面でも、佐賀新工場(伊万里)の稼働拡大、台湾の生産能力増強など、先端300mmウェーハの供給能力を確保する動きを続けています。AI向け半導体は今後も供給逼迫が予想され、ウェーハの需給も徐々にタイト化する見方が強いためです。

② 環境対応とサステナビリティ
半導体製造は大量の電力と純水を使う産業です。SUMCOは再生可能エネルギーの導入水資源の循環利用廃液処理の高度化などに継続的に取り組んでいます(同社サステナビリティ関連の公開情報による)。

③ 産業を超えた連携
ウェーハ産業は、半導体産業全体の基盤になるため、各国政府や研究機関との連携が重要になります。日本では経済産業省が半導体・デジタル産業を国家戦略に位置付けており、SUMCOもその枠組みの中で位置づけられています。

ただし、中期経営計画の数値目標、研究開発の最新詳細、産学連携の具体的なプロジェクト名などについては、本記事執筆時点の公開情報からは確認しきれませんでした。興味のある方は同社IRページの最新IR資料(決算説明会資料・統合報告書)を直接ご確認ください

主要な財務指標(初心者向けに丁寧に)

主要な株価・財務指標は次の通りです(2026-04-30時点・IR Bank公開データより)。

  • 時価総額:8,670億円
  • PER:- 倍(赤字のため算出不可)
  • PBR:1.42倍
  • 配当利回り:0.85%

各指標がどんな意味を持つか、初心者向けに整理します。

PER(株価収益率)
計算式:株価 ÷ 1株あたり利益。1株の利益に対して株価が何倍ついているかを見る指標です。日本株の中央値は15倍前後で、これより低ければ「割安」と判断されることが多いです。ただしSUMCOは2025年12月期が赤字のため、利益で割れず算出不可です。

PBR(株価純資産倍率)
計算式:株価 ÷ 1株あたり純資産。会社の解散価値に対して株価が何倍かを見る指標です。1倍を割ると「解散価値以下」と言われ割安サインですが、業績悪化を市場が織り込んでいる場合もあります。SUMCOの1.42倍は中立的な水準です。

配当利回り
計算式:1株配当 ÷ 株価。投資金額に対して年間どれだけ配当が戻ってくるかを示します。3〜4%以上で高配当と呼ばれることが多いです。SUMCOの0.85%は、業績悪化に伴う減配の影響もあり、現時点では低め。回復局面で増配があれば、利回りも回復していく可能性があります。

まとめ:株式会社SUMCOを見るときの3つのポイント

  1. 半導体産業の「最上流」にいる、世界第2位のシリコンウェーハメーカー。AI半導体ブームの恩恵が川上のウェーハまで波及するかが今後の焦点
  2. 業績の悪化要因は、需要減少 × 減価償却費の増加 × 円高 の3点セット。一時的な要因と構造的な要因を分けて見ることがポイント
  3. 苦しい局面でも設備投資を緩めていない。回復期に向けた立ち位置をどう評価するか

会社のことを知る、というのは、決算書を一緒に読むことでもあります。SUMCOの決算短信や有価証券報告書は、ネット証券の口座があれば誰でも無料で読めます。


データ出典

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※本記事は公開情報に基づく企業紹介であり、投資助言ではありません。投資判断は読者の自己責任でお願いします。